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「あなたを選んで生まれてきた」と言われた障害児の親
障害を持っている子どもの親に、励ます言葉として
「あなたを選んで生まれてきたんだよ」
「あなただったら育てられるから選ばれたんだよ」
などと言葉をかける方が多くいます。
私はその言葉に、正直哀しくなることがありました。
「どうして私が選ばれたんだろう・・」
「なんで息子は障害を持って私のところに来たんだろう」
自分の描いていた未来の中に、“障害児の親になる”という予想していなかったことが起きた時、
正直「これからどうやって育てていけば良いのか分からない。周りの人は健常児を産んでいるのに・・」と周囲を妬む気持ちさえ起こる人もいます。
慰めや励ましのつもりでかけられた言葉
「あなたを選んで生まれてきた」
という言葉は、慰めや励ましの言葉として使われます。
しかし、その言葉をかけられた親の中には、
- 「選ばれたくなかった」
- 「育てる自信と戦っているのに、できるって決めつけないで欲しい」
と感じる方が多くいます。
私もその一人で
「どうして自分の息子が障害をもって生まれてきたのだろう」とずっと考えていました。
こんな言葉をかけると「相手は元気になってくれるだろうな」と思っているのは言った本人だけで、自己満足していることがあります。
しかし言われた側は「自分で産んだのだから、責任を持って育てなさい」と言われているような気持ちになるのです。
このように、励ましのつもりでかけた言葉が、逆に相手を傷つけていたり、精神的に追い込んでしまうことがあります。
障害児の子育てをしていると、健常児の子育てとは違った辛さが何度もやってきます。
私はそのたびに落ち込んで悩んで、
「子どもに障害がなかったら・・」
と考えることもありました。
障害のある子を持つ親は「障害のある身体で産んでごめんね」と自分を責めたりしていることもあるのです。
障害児の親は強い人なんかじゃない
私の親戚にも、障害を持った子を育てる親がいますが、辛い時に”健常児しか育てていない人”に弱音を吐いたら
「自分の子でしょ、何を言ってるの? あなたが選ばれて生まれてきた天使なんだから、責任持たないと」
と言われ、とても落ち込んでいました。
綺麗ごとを言わないでほしい
選ばれたくなんてなかった…
どの親に生まれてくるかなんて、子どもにその選択はできないと思っています。
生まれてすぐ虐待されてしまう子も、捨てられてしまう子も、親を選んでやってきたわけではないはずです。
また、子どもを産むと決めたのは親の選択ですが、それ以外の障害の有無や、性別は選択できないのです。
受け取る相手によって変わる言葉
「あなたを選んで生まれてきたんだよ」
この言葉は、かける人・かけられる人によって捉え方が大きく変わることのあるものだと思います。
例えば
子どもが健常児で、大きくなって立派な成績を修め、親を大切にする心優しい子になった時に
「この子はあなたを選んで生まれてきたのね」という言葉をかけられた親は、嬉しい気持ちになることが多いのではないでしょうか。
しかし、子どもに障害がある場合や、言葉をかけた相手が障害児を育てた経験があるかないかで、また捉え方も変わってくるように感じます。
そして、障害児を持った親が、自分で自分を励ます時に思う分には、スピリチュアルな要素を含め、プラスに捉えられることもあります。
私も「息子は私のところに生まれたくて来てくれた」と思い、自分の心を励ましています。
「息子が息子じゃなかったら」と思ったことはありません。
しかし「息子に、もし障害がなかったら…」と思ったことは何度もあります。
障害のある子を育てる親にとって
— *イケメン自閉症せいくん*ブログ更新中* (@seikunnoouchi) April 2, 2022
「あなたなら育てられるから、子どもは親を選んで生まれてきた」
なんて、きれいごとは言われたくない。だけど生まれてきてくれた我が子は全力で育てるよ。何度も心折れてるし、これからも折れる予定だけど、手は離したくない。育てる自信はずっと作ってる途中です。
まとめ
障害児を育てたことのない方に、障害児の子育てを理解してもらうことは困難なことかもしれませんが、こういった言葉で傷つく人もいるということを多くの方に知ってもらいたいと感じます。
相手を励ましたり、元気を出してもらおうと、人は優しい言葉をかけることがありますが、それがかえって相手を傷つける言葉になることもあるからです。
安易な励ましの言葉に「悪気はないのだろう」と言う方もいますが、「悪気がなかったから仕方がない!」で何でも片付けてしまうのは悲しいですね。
私もそうですが、誰も好んで障害のある子を産みたいとは思っていません。
息子が障害が持って生まれてきて良かったなんて思ったこともありません。
安易な励ましの言葉よりも
「手伝えることがあったら言ってね」
と言ってもらえると、どれだけ多くの方の心が救われるでしょうか・・。
最後までお読みいただきありがとうございました。