自閉症の子どもは、指差しが見られないことが多いのですが、息子もはっきりと指差しをするようになったのが8歳です。
今回は、
- 指差しの発達目安
- 息子の発達
- 指差し獲得に向けた関わり方
- 指差しが出来ると良かったこと
をご紹介します。
Contents
指差しの発達目安とは
定型発達とよばれる子どもは、下記の年齢で指差しすると言われています。
指差しの段階 | 動作 | 発達の目安 |
自発の指差し | 見つけた物を「あっ!」と指差す | 11ヶ月頃 |
要求の指差し | 欲しいものを指差す | 1歳〜 |
共感の指差し | 見付けた物を指差しながら大人を見る | 1〜1歳6ヶ月 |
応答の指差し | 「ワンワンはどれ?」の問いに指差しで答える | 1歳6ヶ月〜 |
参考資料 成長とともに進化する「赤ちゃんの指さし」ってすごい!
しかし自閉症である息子の1歳6ヶ月検診で、
「わんわんはどれ?」
「車はどこかな?」
とイラストを見ながら保健師に質問された息子でしたが、この頃まだ自発の指差しすらありませんでした。
※指差しが出来ないから自閉症だというわけではありません。また、指差しがあるから自閉症ではないというわけでもありません。
あくまで、息子の場合をご紹介しています。
自閉症息子が指差しできるようになるまで
重度知的障害を伴う自閉症の息子の、指差しの発達年齢を紹介します。
指差しの段階 | 発達の目安 | 息子の指差し |
自発の指差し | 11ヶ月頃 | 8歳2ヶ月 |
要求の指差し | 1歳〜 | 8歳4ヶ月 |
共感の指差し | 1〜1歳6ヶ月 | 8歳6ヶ月 |
応答の指差し | 1歳6ヶ月〜 | 8歳8ヶ月 |
発達の目安と比べると、息子の成長が随分とゆっくりなのが見てとれます。
7歳までは欲しいものに手を伸ばしたり、クレーン現象が多く、人差し指で指差しの形を作ることも出来ませんでした。
手指の機能がまだ未熟だったようです。
これまで人差し指を立てて指さす練習も行いましたが、息子は嫌がりほとんど効果がみられませんでした。
指差しの意味とは
指差しは、子どもにとって言葉の代わりになるコミュニケーション手段です。
- 自分の興味を伝える
- 感情を共有する
- 大人の関心を引く
誰かとコミュニケーションを取りたいという気持ちが育ってくると、指差しの発達段階が上がってきます。
また、指差しの発達には三項関係というものが大きく関係しています。
三項関係とは
大人と子どもの間で、一つのものに一緒に注意を向けられるようになることです。
例えば、子どもがバスを指差しながら、大人を振り返り、”みてみて!”とアピールしたりします。
またその反対に、大人が「ほらみて!バスがきたよ」と指差して言うと、子どもがそのバスをみて大人を振り返ります。
子ども・大人・バスの3つの物の間でやり取りが成立することを三項関係といいます。
逆に、二項関係では、子どもがバスを見ている時に、近くに大人がいてもそちらに意識はいきません。
子ども ⇔ 大人
または
子ども ⇔ 物体
二つのものだけで成立するのが二項関係です。
このように、三項関係が成立すると、大人と子どもで同じものを共有することができるようになるのです。
三項関係は社会性・コミュニケーションの発達において非常に重要で、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもは、この三項関係への参加に困難があるといわれています。
指差しが出来るようになるまでのかかわり
「指差しが出来る方が生きやすくなるだろうし、その後の発達にも繋がる」と思い、8歳でかかわり方をより意識しました。
そこから半年で随分と効果が出たので、ご紹介します。
指差しを促すかかわり
家や放課後等デイサービスで同じかかわりを行ってきました。
- おもちゃやおやつを二択から選ばせる
- クレーン現象があった時「これ?」と指差しながら、クレーン以外の伝え方を教える
- 息子が見ている物に大人が積極的に指差しして言葉をかける
できるだけ息子の興味があるものを使ってかかわるようにしました。
”伝えるという手段に、指差しというものがあるんだよー” という思いで息子に教えていると
「自分の好きな物にママが指差ししている!こうやって伝えるのか!」と気付いたようで、真似をするようになってきました。
そこから、欲しいものを指差しするように!
初めての指差しは、スマートフォンのアプリ「ケンタッキー」でした。
大好物のチキンを指差し「ん!ん!」と声を出し大人の顔をみて「食べたい!」を伝えてくれたのです。
指差しの発達が伸びたのがとても嬉しく、よりコミュニケーションが楽しくなりました。
そこから段々、目の前の物だけでなく、遠くのものを指さすことができるようにもなりました。
指差しが出来ているかの基準
- 指差しを指1本でさしているか
- 何を差しているかハッキリしているか
- 大人が指差したその先をみているか
- 指差しをしながら大人の顔を見るか
息子が指差しらしきものが始まった7歳頃は、親指で曖昧に物に指さししたり、手でたたいてアピールしていました。
その段階は、上記の基準に照らし合わせると、まだ指差しが出来ていない状態です。
指差しが出来るようになって良かったこと
自閉症の息子が指差しが出来るようになってきて良かったと感じることは、
気持ちを伝える方法がまた一つ増えたということです。
- 欲しいものが指差しで伝えられる
- いくつかある選択肢から指差しで答えられる
- 指差しは何も道具が要らないので、コミュニケーションが楽になる
指差しは、言葉が出る前の段階だと言われていますが、指差し一つでコミュニケーションが非常に楽になったことはとても嬉しく思います。
また、息子も伝わる喜びからか、日に日に指差しが上達し、自分のスキルとしてしっかりと身につけているように感じます。
言葉はまだ出ていませんが、伝わるコミュニケーションツールが増えると、会話がぐんと楽しくなりますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。