どんな子育て本よりも、障害児子育てがリアルに書かれた本書。
人の考え方を変え、障害者の理解を深めると感じたので紹介します。
ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。
Contents
発達障害に生まれて~自閉症児と母の17年~
知的障害を伴う自閉スペクトラム症
17歳で精神年齢5歳の少年、勇太くん。
本書は、そんな勇太くんと母親の17年間のリアルな記録です。
自立させなければ・・
普通にならなければ・・
親なら多くの方が、心のどこかで思う気持ちなのではないでしょうか。
本書では「普通に育って欲しい」という葛藤と苦悩の中で、次第にありのままを受け入れ、自身の気持ちと戦い、前を向いていく母親の姿に心打たれます。
勇太くんの子育ての中で起きる、
親の言ってることが伝わらない、みんなと同じことが出来ない、癇癪を繰り返す、目を離すと消えてしまう・・。
これらに疲弊した母親は、迷子になった勇太くんに対し「このまま見つからなくても…」と、一瞬心を見失ったと正直な気持ちを語っています。
この本を読んで感じたのは、私たちがいかに「他者との比較」にとらわれて生きているかということです。
私は比較することが悪いことだとは思いません。
しかしそればかりに囚われてはいけない、この「比較」の思想から自由になることが必要だと考えさせられました。
そして「比較」や「理想の子育て」から次第に解き放たれる、母親の心の動きが書かれています。
皆さんの中で、障害のある人を見てこのように感じる方がいるのではないでしょうか。
- 友だちがいないことは人生において寂しいこと。
- 偏食で毎日同じものばかり食べていては、世の中の美味しいものを知ることができず可哀想。
- 障害者向けの作業所で毎日同じ作業をしていることは不幸なのではないのか。
本書はこれらの考えが覆されます。
そして、健常者がそうあるべきだと決めつけていることに気づかされます。
本書の中の、あるエピソードで
養護学級を併設していない学校の、障害を知らない子どもたちが、勇太くんをいじめるシーンがあります。
このエピソードでは”身近に障害のある人がいないこと” ”障害を知らないということ” がどういった気持ちを生むのかが汲み取れます。
私は改めて、障害を知ることが理解に繋がっていくのだと感じました。
障害のある人の考え方や感じ方、障害のある子どもを育てる親の気持ちを知ることが出来る本です。
こんな方に読んでもらいたい
- 障害者の生活がどういうものか知りたい
- 障害を持って生まれることに幸せはないと思っている
- 障害児を育てる親の気持ちが知りたい
- 療育手帳の取得をしたいけど家族に反対されている
- パニックの対応の仕方が分からない
- 障害児がどうして変わった行動をするのか知りたい
- こだわりにどう対応したら良いか分からない
- 支援学校に入学することは残念なことだと思っている
- 自閉症の人に、人の気持ちを分かってもらうためにはどうしたら良いのか
本書を読めば、これらの疑問や悩みが全て解決すると言っても過言ではないと思っています。
まとめ
私にも重度知的障害の息子がいますが、正直将来の予測は出来ませんし、不安もあります。
でも経験された方の話や、体験談を読むと、未来を想像することはできます。
本書を読んで、発達障害児の未来が、決して大人に決められた不幸なものではなく、子ども自身が決めた幸せで生きていくことができるのだと知ることが出来ました。
障害児を持つ親のリアルな子育ての内容や、その心の中を知りたいという方はぜひ一度読んでみてください。
グサッと刺さる言葉が溢れています。
子どものために悩み、行動し、前を向いた素敵な母親の話。
きっとあなたの考え方を変える一冊になると思います。
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最後までお読みいただきありがとうございました。