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叱っているのに笑ってしまう自閉症児
自閉症のお子さんを持つ方で、
- 叱っているのに笑っている
- 友だちが嫌がっているのにその行動を続けてしまう
- 静かにして欲しい場所で大声で喋ったり笑い続ける
こういったお子さんの行動で悩まれている方が多くいます。
実際に息子も、小学校入学前まで、笑える出来事が無いのに急に笑い出して止まらなくなったり、園のお昼寝の時間や病院など、静かにして欲しい場所で大笑いしたり・・。
立てなくなるほど笑い転げていることもありました。
こちらが怒った表情を見せても、ずっと笑っていて、誰かに「ごめんなさい」をするときにもニヤニヤと笑っています。
そんな時
「静かにしなさい!」
「何がそんなに可笑しいの?」
「反省しなさい!」
「真面目に聞いているの?」
と言いたくなりますし、この状況を分かって欲しいと思いますよね。
どうして自閉症の子どもたちの多くは、状況理解が難しいのでしょうか。
なぜ叱られたのかが理解できない
「静かになさい!」
「お友だちが嫌がっているでしょう!」
「怒っているのにどうして笑っているの!」
と注意されても
なぜ注意されたのか
相手が嫌がることをするのはなぜいけないことなのかが理解できません。
それは、自閉症児に
「目に見えないものを理解することが苦手」という特性があるため、状況を把握することが難しく、今何が求められているのかが理解しにくいことが理由にあります。
そのため、場面にあった行動を自然に学習することが難しいという特徴があります。
- 静かにしなけらばならない状況
- 怒っている相手の感情
- 嫌がる相手の気持ち
これらは目に見えないですよね。
自閉症児に一生懸命相手の気持ちを分からせようとすることは、とても遠回りになることが多いのです。
そのため、園のお昼寝の時に笑ってしまう息子に対して、保育士さんは過度に反応せず、「寝ます」という絵カードを見せ、静かに首を横に振ったり無表情で対応していました。
感情を読み取らせようとすること
直接的に、私たちの気持ちを読み取らせる訓練や、雰囲気で状況を把握させるトレーニングは、今目の前の状況を変えるにはかなり遠回りになります。
自閉症児の表情のトレーニングには、非常に長い時間がかかるからです。
そのため、
どういった行動をとれば良いのか説明を繰り返すことが、状況に応じた行動がとれるようになる第一歩になります。
私も息子が小さい頃は「言っても分からない・・」と勝手に諦めていましたが、重度知的障害の息子も、説明すれば理解できることがたくさんあります。
どうしたら良いか伝えるだけで変わる
ポイントは、理論的に事前に説明をすることです。
静かにして欲しい場所
病院や図書館など、静かにしてもらいたい場所のルールを事前に伝えます。
写真や絵カードを用いながら
病院→待っている間は静かにする
図書館→小さな声で読むか、口を閉じて本を読みます
と伝え、話したいことがある時は、声の大きさカードを見せて
「ここでは1の声で話してね」と声を出す大きさを伝えます。
叱っているのに笑っている
こちらが大きな声で叱ったり、怒った表情を見せても、笑いがヒートアップすることがあります。
これは、相手の表情から気持ちを汲むことが苦手な、自閉症の特徴であり、声の強弱や顔の変化が面白く感じてしまうことがあります。
また、ストレスや嫌な感情から逃げるために、気持ちとは正反対の”笑い”が止まらなくなってしまう子もいます。
自閉症児を叱らない方が良いという理由が、ここにもあるのです。
息子も、相手が悲しんでいようが怒っていようが、大爆笑してしまう時期がありました。
「どうして分かってくれないの?」と正直こちらが悲しくなります。
でも、相手を馬鹿にするために笑っているのではないのです。
別記事にも紹介しましたが、息子の場合、良くない行動については、叱るよりも正しい行動を教える方が、状況に応じた行動がとれるようになる一番の近道になりました。
相手の嫌がることを続けてしまう
人を叩いたり、遊んでいるおもちゃを奪ってしまう。
並べて遊んでいる友だちのおもちゃを、平気で崩してしまい相手を怒らせる。など
シャボン玉で遊んでいる親子の所へ入っていき、全部割って雰囲気を悪くしたエピソードも身近にありました。
これらも
「お友だちが嫌がっているでしょう」
「空気を読みなさい!」
と言ってもまた同じことを繰り返し、効果を感じられません。
目に見えない感情を想像することはとても難しいのです。
まとめ
ASD傾向の強い子どもの場合は、正しい行動と、なぜそうするのかの理由も話すと、自分で納得できて行動を修正しやすくなります。
一度伝えただけでは効果はありませんが、繰り返し教えることで
就学前まで状況に応じた行動をとることが難しかった息子が、今では病院などの静かにしなければならないところでは落ち着いて座り、家族や友だち・先生など、相手の表情をよく見るようになってきました。
面白いことがあって笑うことはあっても、理由もなく大笑いしたり、相手の悲しむ表情を見てニヤニヤしてしまう・・。ということが今ではほとんどありません。
✕ 良くない事や相手を傷つける行動→叱る→相手の気持ちを教える→理解できず同じことを繰り返す
◯ 良くない事や相手を傷つける行動→良い行動を繰り返し教える→行動が改善される
場面に応じた行動を教えることは、結果的に落ち着いて相手の表情を確認したりすることができ、息子なりに少しづつ感情の読み取りに挑戦しているように感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。