今回はかかわり方編ということで、障害児が大人になった時のことを考えた支援について紹介しています。
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ペアレントトレーニングとは
ペアレントトレーニングとは、知的障害や自閉症などの子どもをもつ家族を対象に、アメリカで開発されたプログラムです。
「親は子どもの最良の治療者である」という考え方をもとに、子どもへの療育を家庭でもおこなうことで、療育の効果をアップさせたり、維持させたりすることが目的とされています。
家庭でも同じ課題をおこなうことで、子どもの療育時間を増やすことができます。
知的障害や自閉症、ADHDの子どものプログラムが開発され、研修が実施されていますが、ペアレントトレーニングを行っているところは全国的にまだまだ少ないのが現状です。
ペアレントトレーニングによる効果
ペアレントトレーニングで保護者が行動療法や子どもへの関わり方を学ぶと、家庭内でも訓練を積み重ねられるようになります。
その結果、よりスムーズに目標を達成したり、新しい良い行動を習得できるようになるのです。
- 子どもへの関わり方を学ぶことで、親子関係を改善できる
- 子ども自身が良い行動を身に着けられる
- 親が子育てに対する自信を取り戻せる
- 子どもの行動や言動に良い変化が起き、子どもをより愛おしく感じられるようになる
個別に行動観察
息子と私が受けたペアレントトレーニングは、保護者のみの研修ではなく、月に一度、実際に放課後等デイサービスに来てもらい、普段の息子の様子を観察してアドバイスをもらう方法です。
一年間の個別指導依頼で、費用は無料。
その日観察するのは息子一人です。
自閉症に詳しい専門スタッフがデイサービスのスタッフへ、直接かかわり方のコツやアドバイスをすることと、保護者に報告書を作成してくれます。
この方法でとても良いと感じるのが、デイサービスと家庭での関わり方が統一できることです。
専門スタッフの観察の仕方
- 子供の行動やその意味を分析する
- 変化させたい行動をピックアップし、その対処法を考える
- 褒め方、その子に合った効果的な指示の出し方を考える
- 良い行動へ導けるよう効果的な関わり方を考える
自閉症児のかかわりのアドバイスを受ける
5回目となる今回も、実際に息子の行動を観察し、これからの課題とアドバイスをしてもらったので、ご紹介します。
将来を見据えた行動を、3つ助言してもらいました。
抱っこの要求や膝に座る行動について
知的障害のある子どもは、発達年齢が実年齢よりも低いとされていますが、その影響もあり、人へのスキンシップの取り方も幼い傾向があります。
8歳の息子も精神年齢は2歳なので、放課後等デイサービスのスタッフや、学校の先生の膝に座りに行ったり、家族以外に抱っこを求めることが多くあります。
スキンシップは心の安定や、信頼関係を結ぶのにとても良いとされていますが、息子が大人になった時に他人に過度なスキンシップを求めることが、どんな問題に繋がるのかを今から考えていかなければなりません。
そのため、こういったスキンシップは自閉症の息子にとって、自然に消えていく行動ではないそうなので、私たちとデイサービスのスタッフ、学校の先生と相談をし、スキンシップについて関わり方を考えていくことにしました。
家族以外の抱っこや膝の上に座る行動は、少しづつ減らしていき、今後無くしていくことを目標としています。
絵カードで伝わりにくいものは写真に変更する
3歳の頃から絵カードの支援は行っていますが、時々伝わりにくいことがあります。
そんな時は、学校やデイサービスでも写真カードに切り替え反応を確かめます。
将来に向けて、コミュニケーションの手段を確立させていくために、家とデイサービスであらゆる方法を試しながら支援していきます。
ズボンやパンツをずらし人前で脱いでしまうことがある
息子は時々、ブームのようにお尻が見えてしまうくらいズボンやパンツをずらして履くことがあります。
いわゆる腰パンというものです。
しかしそれが公共の場になると問題行動になります。
また大人になると許されない行動になります。
「ちゃんとズボン履いて!」
「恥ずかしいよ、脱いだらダメ!」
という言葉かけは全く意味がなく、行動を加速させてしまうこともあります。
そのことをペアレントトレーニングの際に相談すると、
「長めのTシャツを着るなどし、ズボンをずらしても見えないようにしてみては」
と教わりました。
脱がないことを教えるより、まずは見えてしまわない環境をつくり、パンツを脱いでも良い場所は”トイレ”だと教えるようにした方が良いとアドバイスしてもらいました。
Tシャツを大きいサイズにすることで、見えてしまうことを回避し、その後脱いでしまう行動を無くすことができました。
まとめ
1年間にわたって6回アドバイスに来てもらう予定で、今回はその5回目でした。
息子と私が受けているこの自閉症療育のアドバイスの流れは
- 専門スタッフがデイサービスに来て息子を観察し記録する
- デイサービスのスタッフがアドバイスを受け、息子の関わりの改善をする
- 報告書を作ってくれるので、保護者が受け取る
- 家庭内でも同じかかわり方を試みる
- デイサービスと家庭で、接し方が統一できる
という流れになっています。
また、息子にとって過ごしやすい方法や、気持ちをうまく伝えられる方法、スムーズな生活が送れる方法のアドバイスがもらえるので、毎日家庭でも穏やかに過ごすことが出来ています。
学校やデイサービスでも行っていなかった、かかわりの方の発見があったりもするので、とても勉強になっています。
息子の住む地域では、ペアレントトレーニングを行っている団体があったので、デイサービスから声をかけてもらうことができました。
しかし、学校や療育施設で案内があることは稀で、興味がある場合はご自身で探すこととなってしまうのが欠点です。
ペアレントトレーニングで最もおすすめの本
イラストが多く実践しやすい内容ばかりで、家庭でも子どもとの関わり方が学べます。
保育士さんも実践している内容なので、とても勉強になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。